ファッションショー
「へ?」
ファッションショーやりますから。任せてください。」
「大丈夫ですか?」
「え?何がですか? 先生は何も心配しなくていいので、任せてください。」
閉講式のあと、会場にテーブルが並べられ、親睦会が行なわれる予定になっていました。
お弁当の折、ウーロン茶がならべられ、
先生こっちこっちと促されるままに、生徒さん方に混じり座りました。
テーブルに付き、かなりの人数の中で、プログラムに組まれた有志の方方が、
舞踊や、カラオケ、皆さん芸達者で驚きます。
歌もまったくだめ、他に何か舞台に出てなんてとんでもないけど、
皆さんすごい。
食事を取りながら、おしゃべりしながら、
ぎっくり腰の痛みをかばいながらそんなことをかんがえていました。
何人かが周りでがさごそ、席を立っていきました。
「先生も一緒に、どうぞ。一緒にいきましょう!!!」
「え!!無理です。ほんとに。
スミマセン。ごめんなさい。」
なんせ、腰が・・・。皆さんが、気を使われないように内緒にしていたけれど、
なんか、かえって失礼になっちゃったみたい。
「つまらないと思っていた、タンスの肥やしが、
帽子や、洋服に生まれ変わりました。
デイサービスに通う母、体が小さく既製品があいません。
着なくなった着物で、母にプレゼントしました。
母がすごく喜んでくれました。
娘の着なくなったジーパンで、ベストを。
帯で、バックと帽子をおそろいに。
お召しでパンツスーツを。
世界にひとつだけの、服。」
はじめは度肝を抜かれ、
ビックリで、苦笑いしていた見ていた他の講座の生徒さんも、
「ほ~。は~。」
と熱心に静まり返り、見入ってくれています。
シャネルのショーのフィッターとして裏方で、ぴりぴりした空気を味わったり、
パリコレで、ダイナミックなショーを見たりしたことを思い出しながら、
半数ぐらいがはじめは出る予定だったのに、ほとんど全員が、
舞台の上で、照れくさそうに、またはつらつと楽しそうに、
歩いている姿。
皆さん輝いていて、照明が当たっていないのが申し訳ない
本当に素敵な時間でした。
皆さんそそくさと、舞台を降りましたが、
最後には拍手で、なんだかすごく感動いたしました。